2017年6月22日木曜日

『クレール』くん

『クレール』くん


2013年12月・迷子として収容されましたが、残念ながらお迎えがなく、譲渡のお話もなかったため、TSRでお預かりすることになりました。

収容先の獣医さんの見立てでは、年齢14歳。両眼共白濁し、殆ど見えておらず
外で飼われていたのではないかと思えるほど。
鎧のように毛玉に覆われ、悪臭漂う状態だったそうです。
さて、新しい犬生のスタートに
これからは明るい光に導かれ、幸せになってほしいと願いを込めて
フランス語で明るいという意味のある「クレール」と名付けました。
これが私の4番目の預り犬、クレールとの出会いです。

目の見えない仔のお世話は初めてでしたので、事前に注意点や対処法などを調べ準備しましたが、実際、クレールと生活してみるとハンデを感じさせない、とても手のかからない仔でした。
ゲージの中が安心するようで、そこから周りの様子を伺っていました。
警戒しつつも、吠えることも怯えることもなく、淡々と視覚以外の感覚をフルに使いながら、新しい環境、生活を受け入れていきました。
身体を壁に沿わせながら間取りを確認し、ゲージの出入りも難なくこなし
備え付けの給水機の位置も覚え、喉が渇くとそこでお水を飲み、落ち着きたいときは、ゲージに入る。
またある時は、ソファーの上で寝ていたり、風の気持ち良い日には、窓辺やベランダで日向ぼっこなど。
好きな時に好きなところへ移動し、居心地のいい場所を見つけるのがとっても上手。
それでも柱やドアにゴツンとぶつかってしまうことあります

こちらはヒヤッとしますがクレールは「おっと、いけない、ぶつかっちゃったよ」という感じで
頭をブルブルと左右に振り、何事もなかったかのように、また歩き出します。 
察するに、このように対応できるようになるまでは、それなりの月日と
怖い思いや、痛い目に合い、身をもって体験しながら身に付けた生きるすべ。
それに、クレールの物怖じしない性格によるところも大きいのかもしれません。
目が見えないことを悲しみ嘆くことなく
今の状況を受け入れて前に進む
その適応力、柔軟性、逞しく生き抜く強さに、只々驚かされる事ばかり。

私の方が、どんなに力をもらったか。

さて、大好きな散歩では、グイグイリードを引っ張り、力強くしっかりとした足取りで歩きます。
視覚を補うように匂いや音にはとても敏感。
公園でのことですが、鳥がいると、その気配に反応し、瞬時にハンターモードにスイッチが入り、尻尾をピンと立て、追いかけようと右に左にダッシュしようとします。
まるで見えているごとく敏捷な動き。

また、いつも同じところに来ると
なぜか、植え込みを覗いてチェックを怠りません。
気になって、私も一緒に覗くと猫が飛び出て来て、びっくり!
何事にも興味津々で好奇心旺盛です。
収容所では詳しい健康診断はしないので
保護してからの検査で、隠れていた病気がわかることもしばしばあります。
良かったことは、推定年齢が14歳という見立てから、5歳も若返り9歳に!!
収容先では、シュナじぃと呼ばれ可愛がってもらっていたとか(笑)
血液検査、エコー、尿検査等では
規定値を超えている項目もありましたが
これからフードや生活習慣で、改善できるぐらいのレベル
概ね良好という診断でした。
ところが、ショックだったのは、フィラリアに陽性反応が出たこと。
外飼い疑惑があったので、ある程度は予想していましたが・・・
救いは、現状では心雑音もなく、他の症状も出ていないので
長期戦になる覚悟をしクレールの身体に負担の少ない治療方法を選択
月1回の投薬数を減らすとともに、親虫の成長を妨げながら、寿命(2年とも長い場合8年)が尽きるのを待つ)
クレールが我が家の生活に馴染んでいくように
私も、ちょっと手助けのいることころ、怖がることや注意することを覚え
ごくごく自然にクレールとの生活を楽しむようになりました。



ドライブ中、助手席の私の膝に座り
窓から顔を出すのが好きで
風を感じてとっても気持ち良さそうにしています♪
こんな時、ふっと思うのは
人間でも匂い・臭覚で、ふっと懐かしいと感じたりするこがあるので、クレールも、記憶の中にある景色を思い出していのかなぁ~?
クレールのいる世界ってどんな感じなの?







クレールとの生活が長くなるにつれて、私の中で、ある思いが芽生え始めました。
それは、私がクレールの里親になること。
クレールなら新しいお家へ行っても適応してくれると思う反面
折角、新しい生活環境に慣れたところなのに
また一からのやり直しは、負担になるのでは?
いやいやもっと良いご縁があるかもしれない。
クレールにとって最良の選択とは?という問いに、堂々巡り。
悩んだ末、1年を目途に、それまでにクレールとって良縁が繋がらなければその時は、うちの仔に迎えようと心を決めました。

思えば、保護当時から少なからず、ご縁を感じていたのも事実。

初代シュナ・故ムックは、5歳で白内障を発症し、手術で視力が回復したものの、4年後に緑内障を発症し、点眼薬が手放せない眼圧の上り下がりに一喜一憂する日々。

いずれは視力を失うことの覚悟し、その時は私がムックの目になろう。
でも、残念ながらその機会は与えられず、享年10歳でお空の住人になりました。
クレールとの出会いは、計らずも、その果たせなかった機会を与えてくれるご縁かもしれないと・・・


そして、2015年1月、クレールを家族に迎えました。


今は、穏やかな毎日ですがこの間のことを思い起こすと・・・

皮膚の痒みに悩まされるようになり
フード、お薬、シャンプー療法、何をしても一向に改善するどころか、酷くなり
何か所目かの病院で、やっと原因を特定することができるも
その治療薬は、フィラリア症のクレールには使えないお薬。
一時は、打つ手なしと途方に暮れましたが、先生が製薬会社に症例を確認してくださり、問題例は報告されていないことがわかり
早速、試すと、効果てきめん!!2回の投与で、すっかり完治しました。
このまま原因も特定されず痒みが続いていたら、どうなっていたか考えると、恐ろしいです。
ほっとしたのも束の間
背中のおできが気になって、念のために検査してもらうと
肥満細胞腫との診断結果
またここで、問題になったのは、クレールがフィラリア陽性犬であること。
麻酔に対するリスクが高く、去勢手術も受けていませんでした。
でも、ある程度リスクがあっても切除手術が優先
おできの周りをかなり広範囲に切除され痛々しい状態で帰って来たクレール。
(詳細は、ブログに載せていますので、ご興味があればご覧ください)
今現在、再発もなく、落ち着いています。

さて、ことあるごとに障害になっているフィラリア症
ネットで調べると、「ボルバキア」という最新の治療があり、数か月で陰性転化した実例も。
先生に相談すると、治療経験はないが、そのお薬は、以前からワンちゃんに使われているお薬で、副作用やそれに対する対処法の情報もあるので、決してハイリスクの治療ではないと仰ってくださいました。
この治療を始め、2クール(1クール4か月)で陰性転化!
それでもトータル2年かかりましたが
本当に自分のことのように嬉しいことでした。
一度感染すると、フィラリア成虫が死ぬまで、臓器は蝕まれ続け、進行してゆく厄介な病気です。
でも月に一度のお薬で確実に防げます。
蚊に刺されて感染しても、このお薬が血液に入り込む前に駆除してくれます。
予防薬というより駆虫薬ですね~
色々ありましたが
ここまで二人三脚でどうにか乗り越えてこられたのは、メンバー、ご支援いただきました皆様の励ましや応援
そして親身になって治療に取り組んでくださった獣医師先生のお力があってこそ、今の幸せに繋がっているのだと感じています。


そしてクレールにも新たな出会いがありました。シオンです(写真手前)

初対面の時は、まるで運命の人に出会ってみたいに、匂いを嗅ぎながらくっついて離れず(笑)
どうなることかと思ったほど。相性もバッチリ♪
時にはガイドドッグとして?クレールの相棒となってくれています。

最近
だんだん老いを感じるようになっています。
歩くスピードが遅くなり、散歩に時間がかかります。
寝ている時間も増えたね~
でも、ごはんができる頃に見計らったように、ちゃんと起きて来ます(笑)
食いしん坊なところは変わりません。
そう言えば、ごはんを残したこと一度もないかも。
大好きなおやつをもらうと、取られないようにコソコソ部屋の隅に移動します。
「クレール」と呼ぶと、寝ていてもむくっと起き上がり、声のする方へ、ゆっくりゆっくり確かめるように歩いて来ます。
その何気ない日常の一つ一つが愛おしく、我が家にとってなくてならない存在です。



今は、TSR卒業犬・クレシオコンビとして、イベントにも参加中しています。

自分の家庭に合った犬となら
高齢犬、またはハンデがあっても、家族になれることを、一人でも多くの方に知ってほしいです。
一匹でも多くの仔が幸せになれますように!


クレールに伝え続けたい言葉は「ありがとう」です。
いつまでもこの穏やかな日々が続くことを願って、幸せ報告とします。

クレールは今はTSRメンバーのおうちわんことしてシオンとともに穏やかな生活を送っています。TSRではお預かりしたシュナ達を新しいご家庭に託すまで活動を行っておりますが、新しいおうちがメンバーのおうちということもあります。

ケアを続けていく中で新しいご家庭に託すことを見据えて日々を一緒に生活しており、メンバーがすぐにわが子にという選択をしているわけではありません。悩みに悩み、どこのおうちがいいのか、我が家にいることがベストなのか、また次の子も同じようにとらえてしまったらどうしよう・・・預かり担当はたくさんのことを考え、メンバーに相談し、自分の思いを見極めています。

クレールは視力を失っていましたが、その他の感覚を研ぎ澄まし、問題なく生活を送っています。これからも穏やかな日々が続くことを祈るばかりです。

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2017年5月13日土曜日

『JUKE』くん

2016年6月 JUKEはTSRにやってきました。
東海エリアで活動されているボランティアさまより、ご連絡いただき、一緒に暮らすことが難しくなったご家族から保護依頼が来ているのでお願いできないかとのことでした。
まだ1歳男の子。

やってきたのは これぞ男子なシュナ。わほわほ、いい意味でのおばかっぷり。
まずフードを食べない・・・おやつや人の食べ物ばかりをもらっていたようです。
わんことの距離感もわからず預かりさんちのわんこに指導される始末・・・預かりさんちのわんこ、類を見ないへなちょこ男子なのに、それに指導されるって・・・
お約束のモサモサ…からのパリッと
去勢手術と同時に脇腹にあった脂肪腫も切除・・・痛々しい感じでしたが、JUKEはなんのその・・・。
そして散歩がへたっぴ。自転車 バイク 人 わんこ とにかく何でも吠えてとびかかる!自転車、バイクは必ず!轢かれる!あぶない!だめJUKE!こら!の繰り返し・・・。コマンドはなにも理解できず・・・とりあえず命の危険があるので、あかん!こら!だめ!は理解してほしい~と言いながらの散歩(笑)

でもお家では超絶甘えん坊・・・へばりつくへばりつく・・・。うう~なんてかわいいんだJUKE。

預かり担当の知人宅へ一旦トライアルへいったもののお散歩のパワフルさに断念。
そして里親さんとのご縁があり、JUKEは新しいお家での生活をスタートすることになりまいた。

ようこそ我が家へ

JUKEママ

昨年8月暑い日にワンワンと大騒ぎをしながら黄色い車に乗ってやってきました。
名前は、JUKE 2歳の男の子です。
シュナいいなぁ。飼うならシュナよね~と近所で散歩しているシュナを見るたびに密かに思っていたところ、TSRにシュナ男子がやってくることを知人より聞きました。
いいなぁと思っているうちに他のお宅へトライアルが決まり、あら残念。
かわいいしもう無理ねと思っていたら、まさかの出戻り君になって我が家へトライアルにやってきました。

20年ぶりの犬との生活が始まりました。
不安もありましたが、喜びの方が大きく(それは、TSR預かりさんの明るく頼りになるおかげだと思います。彼女には、大丈夫かもと思わせてくれる何かがあります。) 「あぁ、家に犬がいるんだなぁ」と思うだけで本当に顔がほころんでしまうほどでした。
トライアルでしたが、一晩過ごすと私の中では離れるという考えは、無くなりました。けれども他の家族がダメだと言えば返そうと思っていました。

JUKEの方は、どうだったのかというと・・・

散歩・・・引っ張る、通りすがりのすべてのモノに吠える、吠える。散歩に行くたびにお互い疲れました。チーン・・・

お留守番(我が家では必須デス)・・・意外にお利口。おしっこも我慢できてるし、いたずら皆無。すっごーい!

家の中では、お留守番が出来るくせに人が見えなくなるとキャンキャン鳴き、トイレやお風呂に入っているとドアの前で鳴きながら待っているだけでなく、寂しさからかおしっこもしてくれていました。私はドアを開けてJUKEの顔を見ながら用を足していました。絶えず家族の後をついて回り、座れば抱っこと常に人に触れていました。

今思えばお互い緊張していて距離感がつかめずにいたのだと思います。

トライアル中にも関わらず車で一緒に帰省したりもしながら夏休みを一緒に過ごしました。
そんなある日、子どもが、「お父さんと話ししてたんやけどJUKEってまだ返事してないんやろ?何で?」と聞いてきたので「みんなが嫌なら返す。ワンワン言うし、散歩も大変やしホントに飼っていいの?」
「もう返せへんやろ?お母さん、返すってひどいな。JUKEがかわいそうやろ」と。
JUKEは、その一言で正式に我が家の一員となりました。



それからは、無謀にも一泊旅行に連れて行き犬も人間も疲れ果てたり、家から脱走してお散歩中のおばあちゃんに飛びついてみたり、ランやBBQに誘っていただいたりとJUKEがいなかった以前はどうして過ごしていたのだろうと思うほど週末は慌ただしく過ぎていきます。
子どもたちが大学生になり、夫婦で過ごすことが増えてきた日々にJUKEは、新たな笑いや喜びを連れてきてくれました。まだまだ、音に敏感で吠えたり、他のワンちゃんとも仲良くできないけれども今のままで十分かわいいです。帰省した息子(犬嫌い)に吠えていたのに牛タンジャーキーを見たとたんひれ伏して、膝に抱かれるって・・・

名前は、TSRさんから頂いたJUKEのままです。とても気に入っています。素敵な名前を付けていただいて、JUKEと出会わせていただいて感謝しています。
これからもJUKEとの生活を楽しみたいと思います。


実はJUKE、お外でしかできなかったトイレもお家でできるようになり、少しづつ進化しているんです!しかし、お散歩はなかなか進化せず、近所中の子供を犬嫌いにしていっているわ~とJUKEママ。そんなことを言っているママは本当にJUKEがかわいくて仕方がない様子なんです。

そして一緒にランにいってわかったこと。JUKEとっても足が速い!スタミナないけど(笑)

まだまだ若いJUKE、さらなる進化をしてくれると思います。JUKEママ、笑えるエピソード、楽しみに待っています!
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2017年4月3日月曜日

『マーヤ』ちゃん

本格的な冬も間近な2015年11月末
とある行政の施設に
小さなシュナの女の子が収容されている
という情報がTSRに届きました


施設のサイトに掲載されている画像を見ると
どうやらトリミング直後のよう
これは迷子かな…お迎えがあるのでは?
と思っていたのですがその気配なし
それもそのはず
保護した後にわかったことなのですが
そのトリミングは普通のカットではなく
バリカンで丸刈りにしただけ
シャンプーはされていませんでした
そしてその子の腹部の状態は
何度か出産をした犬のものでした


その子は悪質な繁殖業者が
見掛けだけを家庭犬の迷子に偽装して
公園に遺棄した元繁殖犬だったのです

ボランティアの方のご協力を得て
TSRで保護したその子は
マーヤと名付けられました

推定年齢は4歳と若かったのですが
保護以前の生活の中で受けていたケアが
あまりにもひどかったせいで
体調はかなり不安定な状態でした


被毛と皮膚の状態は非常に悪く
高熱を出したり失明状態になったり…
狭いところに閉じ込められていたせいで
脚も大きく曲がっていました
きっとまともな食事も与えられず
必要最低限のケアもしてもらえず
散歩なんて行ったこともないのでは…

あまりにも体の状態が悪かったので
新しい家族を探すことよりも
まずは体調を少しでも良くすることを考えて
日々のケアを続けていきました


体調は良くなったり悪くなったり…
募集を始めようとすると
マーヤの体に何かしらの異変が起きました
この子はもしかするとここに居続けたいのでは?
そう思うこともありました


でも
あるご家族とのトライアルを決めた後
マーヤの体の異変はすーっと消えました
お預かりから11ヶ月が経過した秋の日
マーヤは新しい家族との生活を始めることを
自分自身で決めたようでした
そして後にマーヤの新しい家族となる
里親候補のご家族にすべてを託して
TSRからマーヤを送り出しました



マーヤと共に過ごした140日間
綿貫紗綾

マーヤが我が家にやって来たのは
シュナウザーのイベントが落ち着いた
10/26のこと

小さな身体のマーヤが大きな幸せを掴みに
我が家へとやって来ました



マーヤが保護されたのは2015年の晩秋
心も身体もボロボロにされてしまったマーヤは
寒空の下へ放たれました

マーヤがどれくらいさまよっていたかも
どのような環境に居たかも
誰もわかりません

わかる事は
マーヤは自由を手に入れるために
生きよう!としていたという事

保護された当初
マーヤの皮膚やマーヤの心
全てにおいて決して‘良い’という状態では
なかったそうです

トレーナーさんのお宅での生活は約11ヶ月間
毎日毎日マーヤのケアを献身的にしてくださり
マーヤは繁殖犬から家庭犬へと変わって行きました



私がマーヤの存在を知ったのは
まだマーヤが預かりさん宅に居た5月ごろ

一言で言ってしまうと
私がマーヤに一目惚れ

ただ
うちには先住犬がいたため
一緒に生活するのは無理だろうな…
と思ってました

でも
マーヤを知れば知るほど
マーヤの周りの環境などが私にリンクすることが多く
よりマーヤに対して親近感が湧き
まだマーヤの里親募集が始まっていないにも関わらず
私はTSRさんに
『私はマーヤが気に入りました!
 うちにくればこんなにいいことがあります!!』
と私を売り込みました(笑)

なんとなくですが
私はマーヤと一緒に生活する様な気がしてました
本当にただなんとなくです

ただ
うちには先住犬がいるのでその仔との相性や
マーヤがうちに来た時に先住犬がヤキモチを妬かないか
私がふたり同時に面倒を見ることができるのだろうか…
という心配もありました

マーヤの募集が始まるのは6月かも…
と言われていたのが延びに延びて
募集開始となったのは結局9月に入った頃でした

それと同時に私の所へ連絡が来ました
その連絡の内容は
『9月の時点では
 まだマーヤの状況は万全ではないので
 日々のケアが必要になります
 入浴は毎日させてあげてください
 体温の上昇を避けるために食事は手作りで…
 食物のアレルゲンもたくさんあります
 体の掻き毟り抑制のために
 留守番時は洋服とエリカラの着用もお願いします
 できれば長時間の留守番は避けていただければ…
というものでした

うちは共働きのため
長時間のお留守番は必須です
一日平均8時間はお留守番になります

そんなこともあり、一度は私の方から
マーヤはうちに来るよりも
 常に見てくださる方の方が良いと思います
とお断りのご連絡をさせていただきました

マーヤが幸せになるのは
うちではないのかもしれないな…
と思いました

お留守番以外のケアに関しては
私は何の抵抗もありませんでした
当たり前です
私も何不自由なく過ごしているのです
毎日お風呂に入り
美味しいご飯を食べ
温かいお布団で眠り
友達と遊び
そんな生活わんこもして当たり前です

ただマーヤは他のわんこに比べて
ちょっと複雑なだけ
なので
私は全然大変だはと思っていませんでした

その想いを全てお伝えしました

そうしたら預かり担当の方から
もしよかったら
 マーヤと先住犬とお見合いさせてみませんか?
とのご連絡をいただきました

そのときは
本当に飛び上がるほど嬉しかったのです!



マーヤがうちの仔と会ったのは
10月上旬のこと
晴れて天気の良いお散歩日和でした

うちの仔は
基本わんこ大好き
どんな仔でも抵抗なく遊ぼう!
というどちらかと言うと社交的なわんこです。
攻撃するわけでもなく、相手が嫌がる事は基本しません

そんなうちの仔とマーヤのお見合い

うまくいかないはずがないんです。
だってマーヤはいい仔だから!

私がマーヤを触ってもヤキモチを妬くこともなく
マイペースに過ごしていました

心の中で
『これは大丈夫だな』
と確信しました

それから髭犬祭でマーヤと再会し
そこでマーヤとお散歩させてもらい
マーヤは私を見ながらお散歩してくれました

これはトレーナーさんが11ヶ月の間に
マーヤをトレーニングしてくださったおかげです

マーヤは家庭犬として
うちの先住犬よりもしっかりとお散歩してくれました




その後
マーヤがうちに来たのは10月26日
その日からマーヤはうちの仔になりました

トライアルのために2週間の期間を頂きましたが
その必要はあったのか…と言うほど
マーヤはうちに早く馴染んでくれました

特に具合悪くなるわけでもなく
すぐに私に甘えてくる様になったのです

それからは毎日楽しく過ごして
私は沢山の経験をさせたくて
お休みの日は海へ行ったり
ドッグランに行ったり
保育園にも通わせて沢山のわんこと触れ合ったり
わんこのイベントHug animalsにも出掛けて
マーヤがお世話になった方々にも再会し
わんこのジムにも通いました

伊豆に家族旅行にも連れていき
友達のわんこと山梨へも旅行にいきました

毎日のお散歩も
夜遅くくたくたになって帰って来ても
マーヤの顔を見たら
寒くてもお散歩行かなきゃ!
という気持ちになりました



マーヤはお散歩大好きで
特にコンビニが好きでした

コンビニの前を通ると必ず立ち止まり
コンビニの自動ドア開けてました
そして出てくる人を見つめる…
そんなことを繰り返していました

マーヤは
きっとこうすれば優しくしてもらえる
と感じていたのかもしれません

それを見るたびに
胸がきゅぅ〜と締め付けられる思いでした
マーヤはこうやって生き延びてきたのかもしれないな…
ふとそんなことを感じてしまう場面を
目の当たりにすることもありました

私は
マーヤには今までできなかった沢山の経験を
させたかったのです

私ができる限りのことはやりました

マーヤがいた期間
やりたいことをなんでもかんでも
すべてやってみました

マーヤはいつもお出掛けやお散歩の前は、
『今日はどこにつれていってくれるの?』
という感じで私に飛びついてきました

眼を輝かせて
毎日を楽しんでいる様でした

仕事前のたった30分のお散歩でさえ
楽しんでいる様でした

マーヤはお散歩行く時と
私が仕事行く時との違いがわかっていたのか
散歩以外の時は行ってらっしゃい程度の
挨拶をしていました
その時は決まって
行ってくるね
と頭を撫でてやると満足そうな顔をして
それからはひたすら寝てました



先住犬とも最初は距離があったものの
だんだん慣れて来たのか
いても逃げなくなっていました

くっついて寝ることもたまにあって
私と寝てる時は私にくっつき過ぎて
いつの間にか私の頭の下にマーヤの頭が…
そんな事もありました

ここから離れたくないと
言っている様にも感じました

そんな平凡な毎日を送っていた
2月の半ば頃のことです
もともとマーヤには脇の下には
ぽこぽことできものができていて
それが膨らんだり引いたりを繰り返していたのですが
そのぽこぽこがなんだか大きくなり始めていました

マーヤがうちに来る前にも
同じ様な所にぽこぽこができていたのですが
それは一旦引いたので
また今回もそれと同じかな…
と様子を見ていました。

それと同時に
皮膚のことをいろいろと調べてみたら
ヒバオイルが皮膚に良いということがわかったので
すぐに取り寄せて薄めたものを朝晩ぽこぽこに吹き付け
それを乾かして…を繰り返していたら
そのぽこぽこは少し小さくなった様に感じました

これでもう大丈夫かな〜?
そう思っていたのですが
マーヤの皮膚の状態を少しでもよくしたいと思い
いつも通っている病院とは別の座間にある病院へ
オゾンの治療をしてもらうために行ってみました

でもその病院の先生には
『これは皮膚の病気ではなくて腫瘍だと思う
 僕だったらこれを切り取って調べて
 悪性か良性か調べて原因を見つける』
と言われました
まずはかかりつけの病院の先生にも
 相談した方がいい
と言っていただいたので
翌日の定期検査の時に
マーヤのぽこぽこが気になるんです
と話したら
座間の病院の先生と同じことを言われました

これは腫瘍なのか
 どちらにしても調べないといけないな…
先生と相談をして私の気持ちは固まって
3/15に入院・手術をする予定を立てました

それが3/1のことです

実はその頃からマーヤは
前ほどお散歩を楽しみにしなくなっていました
お外に連れ出せば歩くのですが
先住犬と一緒に歩いていても
前はついてくることができたのですが
少し遅れを取る様になっていました

そして
手術前の血液検査の前日
急にマーヤがご飯を食べなくなりました
今まで普通に食べていたご飯を急にです
今のご飯に飽きてしまったのかな?
思い
違うお肉などを与えてみたら
少し食べてくれました

そして翌日の血液検査
結果としては
白血球が多いこと
貧血が出てること
アルブミンの数値が低いという理由で
手術は出来ない
先生に言われました

それから一週間
マーヤの身体全体にあっという間に
腫瘍が広がりました

本当にあっという間

マーヤの最期の日は
マーヤを会わせたい人のところへ
連れて行きました

お家へ帰って来て
トイレを済ませて
マーヤは倒れました

そして
救急病院にマーヤを連れて行きましたが
途中のタクシーの中
私に抱きしめられながら
ゆっくりと息をひきとりました

安らかに眠る様に
穏やかな最期でした



私はマーヤの最期の日にマーヤを連れ出したこと
後悔はしていません
何故なら
マーヤのことを支えてくださった
沢山の方にお会いすることができたからです
ありがとうございます

私がマーヤと過ごした時間は
たった140日でしたが
毎日充実していて毎日が幸せでした

マーヤが居なくなってしまったことは
本当に寂しくて
心にぽっかり穴があいた様な感じです
でも
私にはマーヤとの思い出が沢山あり過ぎて
それは幸せでキラキラしていた日々だったから
今はもう寂しくありません
なぜなら
マーヤはまだすぐそばにいて
私と先住犬をいつも見ていてくれている様な
気がするからです

マーヤは名前もなく
まともに散歩もさせてもらえず
美味しいご飯も恐らく与えて貰えなかった環境から
マーヤと言う名前をつけてもらい
沢山の方やわんこに触れて
愛情をいただき
そのおかげでマーヤは私を好きになることができて
楽しいことを探して
温かいお布団で寝て
美味しいご飯を確実に食べられて
好きな時に寝て
色々な所にお出かけして
沢山の経験をして
普通のわんこが当たり前にすることを
当たり前のようにして
それを幸せと感じることができたこと

マーヤが自由を探し始めてからたったの1年3ヶ月
でもこの1年3ヶ月は
マーヤには今まで味わったことがない
幸せを感じた期間だと思います

マーヤの最期が
温かく幸せになものであったのは
沢山の方の支援や愛情があったからこそ
そう思っています

マーヤが冷たい床の上でなく
私の腕の中で最期を迎えることができたのは
私にマーヤを託そうと思ってくださった
TSRの皆さんのおかげです
本当にありがとうございます

マーヤにとっての幸せを掴むために
生き延びた期間は
マーヤが存在したことを伝えるために
生きた期間だと思います

マーヤが伝えたかったこと

日本にはまだ
マーヤの様に繁殖目的でペットを道具として
見ている人がいるということ
そして仔犬が可愛いからと
何も知らずに家族に迎えてしまう人が
いるということ

確かに仔犬は小さくて可愛いらしくて…
でも仔犬の期間はとても短いものです
その短い仔犬の期間を一緒に過ごそうと
仔犬の親のことを知らずに
マーヤの様な仔がいる事を知らずに
仔犬を迎える方がまだ沢山いるということ

これは事実です
そして
私自身が迎えた先住犬も
そのような環境からの仔犬でした

確かに仔犬を迎えたら
とても幸せを感じました
仔犬から育てたので
躾もしやすいと感じました

でもマーヤのように
お散歩の仕方や他のわんことの触れ合い方も
何にも知らない成犬でも
しっかり向き合えば
仔犬から迎えた仔と同じように
しっかりと応えてくれます
一緒にお散歩もできます
毎日を楽しく過ごすこともできます
愛情を与えてくれます

どうか皆様
マーヤの死が無駄にならないように
わんこをお迎えになる前に
一度考えていただきたいです
仔犬の親がどの様な環境にいるのかということ
マーヤのような保護犬がいるということ

仔犬だからいいことばかりとは限りません
そして成犬でも可愛い子は沢山います

愛情を注げば
それ以上の愛情を確実に返してくれます

どうか
どうか
マーヤの死を無駄にしないために
マーヤがいたこと
マーヤのように繁殖目的で生かされているわんこがいること
マーヤのように成犬でも幸せになれるということ
わんこも安心できる生活を当たり前にする権利があるということ
それをひとりでも多くの方に
伝えていっていただければ幸いです

マーヤを献身的にケアしてくださった高木さま
マーヤを私に託そうと思ってくださったTSRの皆さま
マーヤを支えてくださった沢山の方々
マーヤと一緒に遊んでくださった方
マーヤにさようならを言ってくださった方
マーヤと一緒に生活をしてくれたもこ

すべてのことに感謝致します

マーヤは
うちの子になるために
寒空の下頑張って生き延びてきました

マーヤが自由になってから
生きることができたのはたったの1年3ヶ月
でもその期間
マーヤは間違いなく幸せだったと思います



マーヤ ありがとう
マーヤ さようなら
マーヤ また会おうね


保護から1年3ヶ月
新しい家族との生活が始まってから5ヶ月
マーヤは空へと帰って行きました

歩いている姿を見ているだけで
幸せな気分にさせてくれるマーヤは
たくさんの不思議なご縁を繋いで
たくさんの繋がりを残していってくれました

ぬいぐるみで魔法陣を作ったり
30分間空を見続けていたり
マーヤ自身がとても不思議な子でした

もしかすると
繁殖屋の遺棄犬を装って
直接空から降りてきた子なのでは…
マーヤは本当に天使のような子でした


マーヤが空に帰る日
里親様のお心遣いとマーヤの頑張りのおかげで
TSRの関東メンバーはマーヤと会うことができました
マーヤは空に帰る直前でしたが
トレードマークの目力は衰えることなく輝いていました

保護直後から
マーヤのその目はいつも何かを伝えようとしていました
最後の最後までそのメッセージは途切れることなく…
マーヤから受け取ったメッセージ
これからは僕たちが伝えていきます
それがマーヤの願いであり
マーヤの幸せに繋がっていくと信じているからです

僕たちがマーヤとふれあうことができたのは
本当に短い期間でした
でもきっとマーヤは
この短い期間で幸せに生き切ったのだと思います
自分が持っていた幸せをみんなに振りまいて
自分自身も幸せだったに違いありません

またいつかどこかで
マーヤと再会できることを楽しみにしています

やっぱりあなたは
偉大な母で望まれた子供でした
マーヤ
本当にありがとう


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